IOL第一章「少し違う方向に進んだ地球の話」その3(仮)
向かう道中、生徒会長ともなると多くの人に声をかけてくるため、なかなか大変だ。…と思っていたのはどうやら俺だけらしい。一応クラスの友人やら生徒会としてお悩みを解決した関係の人等には声をかけられるが、他の連中は目があっても声をかけてこない。まあ、俺があちらの立場なら多分声なんかかけないだろう。面倒だし。マジメくんにわざわざ声をかける意味もない。
「問題はこれなんだよなぁ…」
「ん?問題って?」
「んと……まぁそうだなぁ…」
そうこう言ってるうちに生徒会室についた。とりあえず来ているであろう他の役員共に聞こえるように声を張ってこう口にする。
「今の生徒会はイメージとして硬すぎる!よって今年は『親近感のある生徒会』を目指す!」
「唐突過ぎて惚れてしまうのでやめていただけませんかご主人様」
「その顔に出さないで恥ずかしいことを堂々と言うのをやめろ。そしてここで『ご主人様』は無しだ」
「申し訳ありませんライフさん」
「分かればよろしい。それに人前じゃ絶対に言わないからその辺は公私混同しないでよく出来ると思うよ」
「私を誰だと思ってるんですかご主人様」
「だから」
「申し訳ありません」
「分かればよろしい」
「何二回も同じような会話繰り返してるの二人して」
この、俺のことを「ご主人様」と呼ぶ無表情前髪ヘアゴム少女はハンナ・エリゼ―。まぁその呼び方どおり我が家でメイドをやってもらっている。若干一七歳にしてサーバント技能検定一級を獲得し、また世界サーバント技能大会で優勝している。『隠し事』の一つ目だ。そして、生徒会副会長を務めてもらっている。
「それで、結局どういう意味ですか?その、『親近感のある生徒会』というのは」
「ん?もう来たみたいだし、飯食いながら話すわ」
そう言うと、四人の足音と共に我らが生徒会のメンバーが顔を出す。
「やっほー!」元気いっぱいツインテールの犬族、ポルティア・ヨニー、通称ぽよ、庶務一年。
「ごきげんよう、皆さん」いいとこのお嬢様で天使族、リーア・ソフィア、書記三年。
「こんにちは」基本冷静でツッコミ役の機械族、ヤフー、ヤグアール、会計一年。
「よう!」大柄で猪突猛進の体現みたいな竜族、ガレス・フォード、庶務二年。
彼らは一昨日の生徒会選挙に立候補し、昨日見事信任発表を受けて、晴れて生徒会としての活動を認められた者たちだ。生徒会長に関しては前任会長からの指名、会長補佐及び副会長は会長から指名という形になっているので、俺とリラそしてハンナは選挙をしていない。その辺を身内で固められるのは楽でいい。
「さて、まずは適当に座って飯を広げてくれ。そしたら頂きながら重要なおはなしだ」
そうして大事な会議が始まる。